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あめふりさんぽ 2005.06.22
あーちゃんは赤いレインコートをきて
おーちゃんは蒼いレインコートをきて
てくてくてくてく歩いていく
おーちゃんは雨の色は蒼いと思って
あーちゃんは紅いと思った
水無月の雨はいろんな色
まちも
ひとも
しぜんも
水無月の雨に染まっていく
あーちゃんは赤いレインコートをきて
おーちゃんは蒼いレインコートをきて
てくてくてくてく歩いていく

おーちゃんは蒼いレインコートをきて
てくてくてくてく歩いていく
おーちゃんは雨の色は蒼いと思って
あーちゃんは紅いと思った
水無月の雨はいろんな色
まちも
ひとも
しぜんも
水無月の雨に染まっていく
あーちゃんは赤いレインコートをきて
おーちゃんは蒼いレインコートをきて
てくてくてくてく歩いていく

ジャズ小噺 9 蟻の誓い 2005.06.20
やあ諸君。僕はアリ。そう、昆虫の蟻。
今日も僕の体はピカピカに黒く光ってる。いつもしっかりとキメるのは結構大変なんだよねえ。
でもさ、僕ら働き蟻の身分でも、ひょっとしたら女王様とお会いできるかもしれないんだよ。
それで何十万も、何百万もの働き蟻の中から「まあ、アナタの名前は」なんて見初められちゃうかもしれないんだぜ。
という事で、僕は毎日女王様の為に一生懸命に頑張っているんだ。
ところでさ、この数日、僕の家の上で何か「ドンドン!」って音がするんだけど、ありゃあ何だい?
地下数メートルも深く掘った僕達の居住区に、さっきから「ぶーんぶーん」とか「ぷぺぽー」とか
可笑しな音が響いてくるんだ。寝れたもんじゃないよ、ったく……。
でさ、僕はこの音の出所を突きとめようと思ってんの。
噂によると女王様も気になっているらしいんだ。
「あの音を聴くと、胸がドキドキしてしまうの」ってさ。
だから思ったんだ。
僕がこの音の謎を解き明かしたら、女王様は僕の事を好きになってくれるかもしれないってね。
さあ、ぐずぐすしてなんかいられない。
さっき、情報屋のモグラも「20年ぶりに地上に出てみるぞ」なんて言ってたし、
先を越される前に何とかしないと。
じゃあ、諸君。僕こと「アリ」は今から旅に出ます。
何日かかるか分からないけれど、必ずここに戻ってきます。
もしも何日経っても僕が戻ってこなかったら、どうかこの言葉を女王様にお伝えください。
「僕は、アナタの事が好きでした」と。
それじゃあ、しゅっぱーーーつ!!
今日も僕の体はピカピカに黒く光ってる。いつもしっかりとキメるのは結構大変なんだよねえ。
でもさ、僕ら働き蟻の身分でも、ひょっとしたら女王様とお会いできるかもしれないんだよ。
それで何十万も、何百万もの働き蟻の中から「まあ、アナタの名前は」なんて見初められちゃうかもしれないんだぜ。
という事で、僕は毎日女王様の為に一生懸命に頑張っているんだ。
ところでさ、この数日、僕の家の上で何か「ドンドン!」って音がするんだけど、ありゃあ何だい?
地下数メートルも深く掘った僕達の居住区に、さっきから「ぶーんぶーん」とか「ぷぺぽー」とか
可笑しな音が響いてくるんだ。寝れたもんじゃないよ、ったく……。
でさ、僕はこの音の出所を突きとめようと思ってんの。
噂によると女王様も気になっているらしいんだ。
「あの音を聴くと、胸がドキドキしてしまうの」ってさ。
だから思ったんだ。
僕がこの音の謎を解き明かしたら、女王様は僕の事を好きになってくれるかもしれないってね。
さあ、ぐずぐすしてなんかいられない。
さっき、情報屋のモグラも「20年ぶりに地上に出てみるぞ」なんて言ってたし、
先を越される前に何とかしないと。
じゃあ、諸君。僕こと「アリ」は今から旅に出ます。
何日かかるか分からないけれど、必ずここに戻ってきます。
もしも何日経っても僕が戻ってこなかったら、どうかこの言葉を女王様にお伝えください。
「僕は、アナタの事が好きでした」と。
それじゃあ、しゅっぱーーーつ!!
ジャズ小噺 8 優しい想い出 2005.06.19
「ねえ母さん…」
「何?」
「いや…別に」
「どうしたの?あたしの顔に何かついてる?」
「いや、別に…」
「そう。…似てるわね」
「え?何が?」
「お父さんの若い頃に」
「父さんの…?」
「そう。お付き合いを始めた頃のお父さんの顔に」
「……」
「初めてデートをしたのがジャズ喫茶だったの。
レコードの音がうるさくて、何を喋ったのか覚えてないけど」
「ふーん」
「その時、あなたと同じ眼をしてた」
「母さん…」
「何?」
「母さん、今日はきれいだよ」
「バカね。大人をからかわないで」
「からかってなんか」
「ほら、始まるわ。父さんの好きだった曲が…」
「何?」
「いや…別に」
「どうしたの?あたしの顔に何かついてる?」
「いや、別に…」
「そう。…似てるわね」
「え?何が?」
「お父さんの若い頃に」
「父さんの…?」
「そう。お付き合いを始めた頃のお父さんの顔に」
「……」
「初めてデートをしたのがジャズ喫茶だったの。
レコードの音がうるさくて、何を喋ったのか覚えてないけど」
「ふーん」
「その時、あなたと同じ眼をしてた」
「母さん…」
「何?」
「母さん、今日はきれいだよ」
「バカね。大人をからかわないで」
「からかってなんか」
「ほら、始まるわ。父さんの好きだった曲が…」
ジャズ小噺 7 トイレの話 2005.06.18
「どうだい?楽しんでる?」
ジンジャーエールでぱんぱんになった僕の膀胱は、発射3秒前の緊急事態。
10分間の休憩が入た瞬間に、僕は急いでトイレへ駆け込んだ。
幸い先客の姿がいない事で気が緩んだ僕は、
トイレの中でさっき聴いた曲のフレーズをつい口ずさんでしまった。
シャバダバダバダー
ダッダッダッダ・ダダー
ドゥビドゥビダバドゥビ
パッパドゥビドゥビ!
口ずさんだのは、さっきまでステージに上がっていたペット吹きのオヤジの真似。
ペットを吹いてるより、濁声でスキャットしていた時間の方が長かったけれど
聴いていた観客は大いに沸いた。
----やあ、サッチモじゃないか!
僕の隣にいた老人が嬉しそうに僕に相打ちを求めてきたけれど、
僕は「サッチモ」が何なのか知らないから、ただ曖昧に笑ってみた。
「サッチモ」って、何だ?
よく「にっちも、さっちもどうにも」って言葉を聞くけど、その意味だろうか。
まあ、そんな事はどうでもいい。
とびっきりの笑顔で「シャバダバダバ」言っていたのが凄く気持ち良さそうで、
僕は一生懸命に声を潰して真似てみた。
シャバダバダバダー
ダッダッダッダ・ダダー
ドゥビドゥビダバドゥビ
パッパドゥビドゥビ!
やっと膀胱がすっからかんになってスッキリすると、僕は何食わぬ顔でトイレのドアを開けた。
「よう」
開いた瞬間に声をかけられて、僕は思わず「うう」と仰け反った。
しまった、トイレで歌っていたのを聞かれたかもしれない。
口元を手で押さえたまま目礼すると、目の前の男はクスリと笑った。
「楽しんでるな…」
男は口笛を吹きながら、代わりにトイレの中へ入っていく。
その口笛の音が、さっきのペットの曲だという事に僕は気付いた。
いいな。ジャズって!
思わぬところで心が通じるんだから。
弾むような気持ちでトイレを2、3歩後にすると、今度はトイレに向って誰かが大きな声で呼びかけた。
----益田さん!益田さん!もう後半のステージ始まっちゃいますよ!
切羽詰った勢いでトイレのドアを叩かれても、トイレの向こうの男は何も動じない。
それよりも、益々気持ち良さ気に鼻歌なんか歌っている。
「ああ、俺は此処で聞いてるから、好きにやってくれよ」
トイレの中の男は、のんびりとした声でそう答えた。
ジンジャーエールでぱんぱんになった僕の膀胱は、発射3秒前の緊急事態。
10分間の休憩が入た瞬間に、僕は急いでトイレへ駆け込んだ。
幸い先客の姿がいない事で気が緩んだ僕は、
トイレの中でさっき聴いた曲のフレーズをつい口ずさんでしまった。
シャバダバダバダー
ダッダッダッダ・ダダー
ドゥビドゥビダバドゥビ
パッパドゥビドゥビ!
口ずさんだのは、さっきまでステージに上がっていたペット吹きのオヤジの真似。
ペットを吹いてるより、濁声でスキャットしていた時間の方が長かったけれど
聴いていた観客は大いに沸いた。
----やあ、サッチモじゃないか!
僕の隣にいた老人が嬉しそうに僕に相打ちを求めてきたけれど、
僕は「サッチモ」が何なのか知らないから、ただ曖昧に笑ってみた。
「サッチモ」って、何だ?
よく「にっちも、さっちもどうにも」って言葉を聞くけど、その意味だろうか。
まあ、そんな事はどうでもいい。
とびっきりの笑顔で「シャバダバダバ」言っていたのが凄く気持ち良さそうで、
僕は一生懸命に声を潰して真似てみた。
シャバダバダバダー
ダッダッダッダ・ダダー
ドゥビドゥビダバドゥビ
パッパドゥビドゥビ!
やっと膀胱がすっからかんになってスッキリすると、僕は何食わぬ顔でトイレのドアを開けた。
「よう」
開いた瞬間に声をかけられて、僕は思わず「うう」と仰け反った。
しまった、トイレで歌っていたのを聞かれたかもしれない。
口元を手で押さえたまま目礼すると、目の前の男はクスリと笑った。
「楽しんでるな…」
男は口笛を吹きながら、代わりにトイレの中へ入っていく。
その口笛の音が、さっきのペットの曲だという事に僕は気付いた。
いいな。ジャズって!
思わぬところで心が通じるんだから。
弾むような気持ちでトイレを2、3歩後にすると、今度はトイレに向って誰かが大きな声で呼びかけた。
----益田さん!益田さん!もう後半のステージ始まっちゃいますよ!
切羽詰った勢いでトイレのドアを叩かれても、トイレの向こうの男は何も動じない。
それよりも、益々気持ち良さ気に鼻歌なんか歌っている。
「ああ、俺は此処で聞いてるから、好きにやってくれよ」
トイレの中の男は、のんびりとした声でそう答えた。
ジャズ小噺 6 おつきさん 2005.06.15
「今日の月はあまり形がよろしくない」
「そうね。月はいつも良い顔を見せてくれるわけでもないから」
すぐ傍からそんな会話が聞こえた。
こんなに密閉された空間なのに、どこから月を眺めているのだろう。
そう思って会場をぐるりと見渡してみると、月は「いた」。
店主の趣向だろうか。
天井に小さな明り取りの天窓が作られていて、そこだけが蒼白く光っている。
月はそこから私達を覗いていたのだ。
確かに今宵の月は満月でも三日月でもない。
兎が餅をつくにはどこか肩身が狭そうだし、愛を語るには物足りない。
それでも私は、その月の様子が愛しく思えた。
同じ頃、ステージの端で一人の男がピアノを弾いていた。
聞こえてくる曲は「Fry me to the moon」。
彼が奏でるジャズピアノの音色は、うっとりとする程甘くて美しいのに、
彼は観客になかなか顔を見せようとしなかった。
まるで鍵盤に顔をこするのではないかと思えた程だ。
私は彼の素顔を知っている。
いつも気難しがりやで素っ気無いけど、
時々はにかんだ笑顔を私に見せてくれる。
彼は今日の月と良く似ているのだ……。
「そうね。月はいつも良い顔を見せてくれるわけでもないから」
すぐ傍からそんな会話が聞こえた。
こんなに密閉された空間なのに、どこから月を眺めているのだろう。
そう思って会場をぐるりと見渡してみると、月は「いた」。
店主の趣向だろうか。
天井に小さな明り取りの天窓が作られていて、そこだけが蒼白く光っている。
月はそこから私達を覗いていたのだ。
確かに今宵の月は満月でも三日月でもない。
兎が餅をつくにはどこか肩身が狭そうだし、愛を語るには物足りない。
それでも私は、その月の様子が愛しく思えた。
同じ頃、ステージの端で一人の男がピアノを弾いていた。
聞こえてくる曲は「Fry me to the moon」。
彼が奏でるジャズピアノの音色は、うっとりとする程甘くて美しいのに、
彼は観客になかなか顔を見せようとしなかった。
まるで鍵盤に顔をこするのではないかと思えた程だ。
私は彼の素顔を知っている。
いつも気難しがりやで素っ気無いけど、
時々はにかんだ笑顔を私に見せてくれる。
彼は今日の月と良く似ているのだ……。
ジャズ小噺 5 さてんどーる 2005.06.13
三番目にステージに上がったバンドが、「SATIN DOLL」を演奏する。
上品ですべらかなサテン地の感触を思わせるような、ピアノの軽やかな音。
「僕ね、この曲を君の為に弾くよ」
昨日もらった電話、いつになく真剣な声であなたは言った。
その時は「ふん」って意地悪く笑ってみたけれど、本当の気持ちは……。
シルクシャンタンのカクテルドレスに
汕頭(スワトウ)のハンカチ。身に纏った香は「アナ・スイ」
港町の貿易商から買った中国人形に似せて、
今日は自分をそんなふうに飾り立てた。
あなたの為に飾り立てた。
上品ですべらかなサテン地の感触を思わせるような、ピアノの軽やかな音。
「僕ね、この曲を君の為に弾くよ」
昨日もらった電話、いつになく真剣な声であなたは言った。
その時は「ふん」って意地悪く笑ってみたけれど、本当の気持ちは……。
シルクシャンタンのカクテルドレスに
汕頭(スワトウ)のハンカチ。身に纏った香は「アナ・スイ」
港町の貿易商から買った中国人形に似せて、
今日は自分をそんなふうに飾り立てた。
あなたの為に飾り立てた。
ジャズ小噺 4 2005.06.12
ウッドベースを弾く姿って、男性が女性を後ろから抱きしめている様に見えるのだけど、
あなたはそう感じた事はない?
ほら、あのベーシスト。眼を瞑って、激しく腰を抱くように弦を弾いている。
ちょっとだけ、あの胴長の楽器に嫉妬してしまったわ……。
あなたはそう感じた事はない?
ほら、あのベーシスト。眼を瞑って、激しく腰を抱くように弦を弾いている。
ちょっとだけ、あの胴長の楽器に嫉妬してしまったわ……。
ジャズ小噺 3 2005.06.10
男が30を迎える時と女が30を迎える時って、何だか気持ちが全く違うみたいね。
女はいつも鏡を覗いては、やれ皺が増えただの吹き出物が出来ただのと騒ぐけど、男は違う。
20代の時よりずっといい顔になって、時には少年に戻ってしまう時も。
彼も30を迎えるけれど、まさにそんな感じ。
もうすぐ始まろうとしているステージの裏で、人一倍素敵な笑顔を浮かべている。
悔しいけれど、そんな彼が好き。
さあ、始まったわ!ステージが。
シャンパンを片手に、あの人のジャズを聴かなくちゃね。
小さい文字
女はいつも鏡を覗いては、やれ皺が増えただの吹き出物が出来ただのと騒ぐけど、男は違う。
20代の時よりずっといい顔になって、時には少年に戻ってしまう時も。
彼も30を迎えるけれど、まさにそんな感じ。
もうすぐ始まろうとしているステージの裏で、人一倍素敵な笑顔を浮かべている。
悔しいけれど、そんな彼が好き。
さあ、始まったわ!ステージが。
シャンパンを片手に、あの人のジャズを聴かなくちゃね。
小さい文字
ジャズ小噺2 くーるすとらってぃんぐ 2005.06.09
ストリートで遊んでいる奴等が誰しも「ヒップホップ」ばかり聴いているんじゃない。
この前「1 on 1」の相手をしてくれた男が、そんな事を言っていた。
3ポイントシュートを決める時、男の頭の中ではジャズが聞こえているらしい。
「ジャズって…何聴いているんだ」
そう聞きたかったものの、俺は何も聞かずにその男と別れた。
バスケットコートの中では、その男に全く歯が立たなかったのが癪に障ったのが本音だ。
何カッコつけてんだよ。
腹立ち紛れに何度も壁にボールをあてたものの、
橙色のバスケットボールはただ俺の方へ戻ってくるだけ。
結局その日の夜は、俺は一睡も出来なかった。
それから数日後。同じ場所で、またあの男に出会った。
男は俺の顔を見るなり、一枚のチケットを俺の手に握らせた。
男がくれたチケットは、とあるジャズバーで開かれるジャズライヴ。
「一度聴いてみればわかるさ」
男はそう言うと、含みのある笑顔を見せて立ち去った。
そして今。俺は男のくれたチケットをたよりに、この小さなジャズバーの中にいる。
まだ何がわかるかは、はっきりと言えない。
だけど、さっきからかかっている曲を聴いているうちに、
体が跳ねるような気持ちになるのは何故だろうか……。
この前「1 on 1」の相手をしてくれた男が、そんな事を言っていた。
3ポイントシュートを決める時、男の頭の中ではジャズが聞こえているらしい。
「ジャズって…何聴いているんだ」
そう聞きたかったものの、俺は何も聞かずにその男と別れた。
バスケットコートの中では、その男に全く歯が立たなかったのが癪に障ったのが本音だ。
何カッコつけてんだよ。
腹立ち紛れに何度も壁にボールをあてたものの、
橙色のバスケットボールはただ俺の方へ戻ってくるだけ。
結局その日の夜は、俺は一睡も出来なかった。
それから数日後。同じ場所で、またあの男に出会った。
男は俺の顔を見るなり、一枚のチケットを俺の手に握らせた。
男がくれたチケットは、とあるジャズバーで開かれるジャズライヴ。
「一度聴いてみればわかるさ」
男はそう言うと、含みのある笑顔を見せて立ち去った。
そして今。俺は男のくれたチケットをたよりに、この小さなジャズバーの中にいる。
まだ何がわかるかは、はっきりと言えない。
だけど、さっきからかかっている曲を聴いているうちに、
体が跳ねるような気持ちになるのは何故だろうか……。
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