カフェ番長

カフェ番長「カオポン」の、珈琲と喫茶店日記。 時には鞄を作ったり、ジャズを歌ったり。 手作りの暮らしを楽しんでます。

2010年10月 | ARCHIVE-SELECT | 2010年12月

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お酒は温めの燗が良い



なーんて流行り歌、昔ありましたね。
ぬるいお酒なんて美味しいのかな。子どもの頃、そんなことを思ってました。

この年になって、ぬるいお酒が美味しい事を知りました。
埼玉の地酒「ひこ孫」。
燗酒ではこれが一番美味しいと思います。

ゆっくりと体が温まります。これからの時期には良いですね。
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| 今日の喫茶店 | 00:04 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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短編 「ロボット爺ちゃん」




その1

夏休みが始まる一日前。僕の部屋に小包が届いた。
僕の背丈より少し大きい銀色の箱に、『ロボット カタログ』と言う文字が入っている。
中国語と英語とハングル文字とアラビア文字と日本語で赤く注意書きが書いてある。
『注意!!開封してからの返品は如何なる事情があってもお断り致します。
あなたの暮らしにロボットの恩恵を。』


開封してからは返せないなんて文句、カタログには載ってなかったぞ。
僕はちょっとインチキな手口に引っかかっているんじゃないかと心配になったけれど、
その小包を早く開けてみたかった。
でも、ここはぐっと我慢。
夏休みが始まったら見てみる事にしようと決めたんだ。
僕はグチャグチャに散らかった部屋の真ん中に小包を置いた。
さあ、明日からは夏休み!海にも行きたいし、山にも行きたい。
それに、小包の中のロボットを起動させて僕と友達にさせるんだ。
久しぶりに僕は、すぐに眠った。いつもより、4分と23秒早く。


そして僕はすぐに起きた!
いや、起こされたと言う方が正しい。
いや、もっと正確に言えば「叩き起こされた」と言う。
僕は今まで「叩かれる」と言う経験は無かったから、一瞬何をされたのか分らなかった。
それでも、程よく肥えた僕の臀部にじーんと痛みが伝わった瞬間、
僕は「わあああああああっ!!」と叫びながら起きた。
そして部屋の中を見た瞬間、もう一度僕は、「わあああああああっ!」と叫んだ。
まだ開封されていなかった箱が開いていて、その中のロボットが勝手に起動していたんだ!




「けしからん。書生はいつまで寝ているんじゃ!」
ロボットはそう言うと「カーッ!」と口を大きく開いて喉の奥から何かを吐き出そうとしていた。
そして「ペッ!」と、ロボットのくせして何かを吐き出した。
この動作は多分、「痰」と言う喉粘膜にたまった不純物を吐き出す動作だな、と僕は思った。
痰は出なかったけれど、代わりに濁った油の塊みたいのが出た。ロボットの痰なのかもしれない。
「は、は、は、はーや、早起きは三文の得。
しょ、しょ、書生はこれからワシと同じくらいに早く起床する事を心がけるのじゃ」
しわがれた声でそう言うと、ロボットは散らかった僕の部屋を片づけはじめた。
生まれてから11年間、一度も掃除をした事が無かった僕の部屋を!
「うーむ、しょ、書生くん。君はまだ子供のくせして随分とませているな。
ああー、この“宇宙美女大百科決定版”、これは没収させて頂く。
あと、なんだね、君の、その、ぶよぶよにたるんだ体は。
健康維持装置で体調管理をするのも結構だが、すべて機械にまかせてはいけない。
男子たるもの、もっと強靭な体を作るにはもっと鍛えなくてはならないの。
ああー、それからそれから…」

『開封してからの返品は如何なる事情があってもお断り致します。』

開封して、じゃあなくて勝手に開封されちゃっても返品って効かないんだろうな。
僕は箱に書かれた赤い字を睨みながらため息をついた。
そして、むくむくと怒りがこみ上げてくるのを感じた。
だいたい僕は、こんな「お爺チャンロボット」なんか頼んだ覚えはないぞ!!
僕が頼んだのは「お姉チャンロボット」だったはずだ。
僕の言う事を何でも聞いてくれる、美人なお姉チャンロボットが来るはずだったのに。
同じ「チャン」でも爺と姉とじゃ大違いだ。
ロボットのくせして、説教を言うし何だか随分偉そうだ。
ロボットのくせして、お茶まで飲むんだ。僕はお茶なんか飲んだ事が無いのに…。


neji.gif





僕は生まれてからずっと、この部屋で一人で、一人で…生きてきた。
父さんの顔も母さんの顔も知らない。眼をあけて最初に見たものは何だったろう。
僕は今まで、学校に行く事も、図書館も、運動場も、海で海水浴も、山のキャンプも、
全てこの部屋で楽しんできた。
僕の机の上に置いてあるヘルメットを被ると部屋の中でいろんな所に行って、いろんな体験ができるんだ。
まあ、できると言ってもみんな疑似体験なんだけどね。
学校の中にいる「友達」と言う者も、海の中にいる「魚」と言う生き物も、みんな、みんな作り物なんだ。
僕たちが生きている世界は、みんなそうやって大きくなっていく。
僕の他にも沢山の子供や大人がいるみたいだけど、僕はお目にかかった事が無い。
物心がついて初めて勉強をした時に、この世界のルールみたいな物を教育ロボットから教えてもらったんだ。
それはね・・・「呼ばれるまでは『外』に一歩も出てはいけない事」。
誰に呼ばれるのかは分からないけれど、
誰かに呼ばれるまでは僕たちはずっと、ずーっとこの部屋の中で暮らしていくんだ。
まあ、今まで何も困った事は無かったし。寂しいとは思わなかったんだ。
でも教育ロボットから、よく勉強を頑張った御褒美に何かプレゼントをしようって言ってくれた時、
僕はある事を思いついた。
「ナニガホシイノカ、イッテクダサイ」と電子眼をきらきら輝かせて僕を見るロボットに、僕はこう言った。
「じゃあ僕は夏休みが欲しい。勉強ロボットと一日中顔をつき合わせていなくてもいい、
本物の休みが欲しいんだ。それも、今までにはないくらいながーい夏休みをね!」

生まれたときから僕の傍についていた勉強ロボットは、僕の注文を理解するのに少しだけ時間がかかった。
しかし、僕の言いたいことが理解できると、勉強ロボットは起動を停止させ、ただの金属の塊になった。
そして僕は、前々から興味を持っていたあるロボットを注文したんだ。
テレビから「ロボットカタログチャンネル」を開いて「せくしーなお姉ちゃんロボットを一台!」って注文したんだ。
夏休みの間に、ちょっと「女」についても知りたかったからさ。

でも、今僕の部屋にいるのは「お爺チャンロボット」だ。
こんなのどのカタログにも載っていなかったのに。どういう事なんだろう…?
でもどんな理由であれ、もうこのロボットは僕の物である。
壊れるまでは、僕の物。
頬杖をついてふくれっつらをする僕を見ながら、ロボット爺チャンはゴソゴソと片づけていた。
捨てても構わないゴミでも「もったいない、もったいない…」と呟きながら…。
掃除をして片づけてみると、改めて僕の部屋はとてつもなく狭いのだと分かった。
僕は生まれてからずっと、このベットの上で生活をしていたのだから。
食事も、排泄も、お風呂も、睡眠も、全部全部、このベットの上で。
突然、僕の部屋に放り込まれたロボット爺チャンは、僕の周りを忙しそうに動き回っていた…。




その2



「あーっ、あーっ。しょ、しょ、しょ、書生くん!」
ロボット爺チャンは吃る。ロボットのくせして入れ歯まで入れている。
僕の名前は「1025698・も?8番」って言う名前なのに、
ロボット爺チャンは「書生くん」と僕をそう呼ぶんだ。
何度も「1025698・も?8番」だ、って言ったんだけど、呼び方を改める気は全く無い様だ。
僕もまあいいかと思って、好きな様に呼ばせた。
まあ、「書生くん」と呼ばれてもまんざら悪い気もしなかったからね。
次の月までは、「勉強ロボット」は作動しないから、僕はロボット爺チャンと
一日の大半を一緒に過ごす様になった。

ちなみに去年の夏休みは、ずっと「ハワイ」と言う大昔にあったリゾート地に行って過ごした。
と、言っても全ては「旅行プログラム」の中での疑似体験なんだけどね。
肌をおもいっきり露出したお姉チャンや蒼い海が見れて楽しかったけれど、
それは全て僕のベットの上で経験した事。
ロボット爺チャンは僕に疑似体験を楽しむ為のヘルメットをかぶる事を禁止した。
ロボットに禁止されるなんてどうかしてると思いながらも
爺チャンが立てた夏休みの暮らし方の計画に従ってみる事にした。
たまには疑似体験をしなくてもいいかもしれないと思ってさ!


爺チャンと過ごす朝は……と言っても、何が朝で何が夜なのかも
あんまり分かんないものなんだが、爺チャンの朝はとてつもなく早い。
時計で言うと午前5時には「起床ー!!」と言う声と共に、
僕が寝ていようと構わずに僕の体をグイっと起こすんだ。

今まで殆ど体を動かしていなかったから、僕の体はとてつもなく肥っている。
起き上がるのもやっとの事なんだ。ふうふう言いながら起き上がると、
一杯の「水」と言う液体を僕に飲めと薦める。
僕は今まで「水」と言う液体を飲んだ事は無い。
だいたい栄養剤が入ったジェルが鼻に通したチューブを伝って体の中に入っていくんだ。
だから、「飲む」と言う行為も爺チャンに初めて教えてもらった。
「いいかあ?書生くん。こうやって噛む様に飲むのじゃ」
そう言って、ロボット爺チャンはチタン製の入れ歯をキンキン言わせながら、水を飲んでみせた。

ロボット爺チャンは「遊び」を僕に教えてくれた。
今まで何も知らなかったわけではない。
でも、生身の遊び相手は今までいなかった。
爺チャンは、「外」と」時々連絡を繋げては僕の見た事も無い素材を調達してきてくれた。
紙を使って、「紙飛行機」と言う飛ばせるオモチャを造った。

hikouki.gif



指で触れてみると、何か硬い感触がした。時間をかけて折ったり、丸めたりしてみると
紙は柔らかくなるものだという事が分かった。
爺チャンの指先から離れた飛行機は、狭い部屋を旋回しながら飛んだ。
僕は部屋の天井を今まで見た事がなかったのに気付いた。
いや、いつも寝るときに僕の視界に入っていたと思う。
ただ、意識して見なかっただけなんだろう。
天井に小さなカメラがあるのに気がついた。たぶん、外の世界の誰かが見ているのかもしれない。
きっとそうなんだろうと爺チャンに確かめてみたけど、爺チャンは「外の事は、わしは知らん」と言った。
どうなんだろう、知っていてもそう言う様に仕向けられているのかもしれないな。
僕はそれ以上何も聞かず、爺チャンと遊ぶ事に集中した。

シャボン玉作りに、けん球、かくれんぼに鬼ごっこ…ベットの上では狭すぎると思った。
僕は、爺チャンの遊びに食らいつくかの様に体を動かした。
しばらくすると、そんなに呼吸が乱れなくなった。少し体も細くなった。
鼻に通したチューブも抜いて、薦められた食物を食べる様にした。
うまく咀嚼が出来なくて、窒息しそうになった事もあったけれど、
だんだん食べる事の楽しさを感じる様になった。
「カーッ、カーッ、カーッ、カーッ、カッ!!」と、爺チャンは楽しい事があると大声で笑った。
僕は爺チャンの笑い声が好きになった。何だか、お腹の底から気持ちよくなるからなんだ。

不満なのは、爺チャンは早く眠ると言う事だ。
基本的にロボットは「眠る」と言う行為はしない。
いつまでも起きているし、自分から機能を停止する事は無いんだ。
でも、このロボット爺チャンは特別みたいだった。
夜の7時になると、プツンと切れたかの様に勝手に止まってしまうんだ。
その機能停止の仕方も凄くてさ。7時きっかりに「就寝形態へんけーい!!」って叫ぶ。
そうすると、爺チャンの体がガッチャン、ガッチャン言いながら銀色の箱に変形していくんだ。
大昔の「ロボットアニメ」って言うやつみたいなんだ。
それで、最後には爺チャンのチタン製の入れ歯が律義に箱の上に置かれてある。
入れ歯もしまう事ができないのかな?爺チャン…。

僕は爺チャンが眠ってしまうと退屈で仕方がなかった。
爺チャンを製造した「ロボットカタログ」と言う会社に
「機能を自分勝手に停止させるロボットは困る!」って文句を言った事があるんだけど、おかしなものなんだ。
ロボット爺チャンは勝手に起動したり、起動を停止する様にはプログラムされていないって言うんだ。

「1025698・も?8番、普通ではありえない事です。アナタは不正な取り扱いをしたのではないですか?」

テレビの向こうの、『ロボット相談室』の受け付けロボットは、機械的な声で僕を脅した。
とんでもない!何が不正なんだ?
僕のロボット爺チャンが勝手にそう動いているんだ。僕は、テレビを消すとため息をついた。
僕の元に送り付けられたロボットはちょっと変わっている。
ロボットなんだけど、人間みたいで。人間の僕よりも、人間ぽい。
ロボット爺チャンは、時々僕が言った言葉を忘れたり同じ事を何回も言ったりと、
ちょっと変な行動を取る事もあったけれど、
そんな変なロボットの事を僕はいつか好きになっていた。
夜7時になって、爺チャンが「ワシは、もう眠る。就寝形態へんけーい!!」と機能停止すると、
僕も眠る様にした。
もう一人で起きているのが寂しいんだ。
僕は、夢の中でもロボット爺チャンと遊ぶ様になった。


その3


ロボット爺チャンの具合がおかしくなったのは、「勝手に起動」してから39日めの事だった。
いつもの様に、朝5時に「起床ー!!」って起こしてくれるはずなのに、
その日はずっと爺チャンは動かなかった。
僕は朝5時に目覚めるのが習慣になっていたから、勝手に起き上がった。
でも、ベットの横で一杯の水を差し出す爺チャンの姿はなく、銀色の金属の塊が静かに横たわっていた。
機能停止をすると、爺チャンは人間の姿から、銀色の箱みたいな姿に変化する。
僕は、ベットから起き上がると箱の状態の爺チャンに触れた。
物言わぬ爺チャンは、ただの箱だった。
「なあ、爺チャン…」
僕は声をかけた。
「どうしたんだよ、爺チャン…」
爺チャンは、尚も沈黙を通していた。

僕は、嫌な予感がした。まさか完全に機能が停止しちゃったんじゃないのかな…って。
「なあ、爺チャン!爺チャンってば!」
僕はこぶしで爺チャンを叩いた。箱のままの爺チャンはカチカチに硬い。
指相撲を教えてくれた、精巧な柔らかい手も、少し曲がった背中も、
すごく良く出来た口髭も、何も…何も…無い。

僕は混乱した。直にテレビの『ロボット相談室』に爺チャンの異常を訴えた。
「あのさあ!爺チャンが!爺チャンが死んじゃったのかもしれないんだ。なあ、治してくれよ。頼むよ!」
それに対して、受け付けロボットはこの前と同じ機械的な声で淡々と答えた。
「1025698・も?8番、ロボットに『死』と言う言葉はありません。
これから、24時間以内に再起動したとしてもこのロボットは
異常ロボットとして機能をこちらの方で停止させます。
直ちに回収し、新しいロボットを発送します。」
「回収するって?!新しいロボットなんて、いらないよ。
今の爺チャンロボットじゃなくちゃ、嫌なんだ!!」
僕は、画面を殴りかねない勢いで怒鳴った。
僕のとても、とても人間的な行動に対し、受け付けロボットは暫く静止していた。
そして、僕の持って行き場の無い怒りが少し治まるのを判断すると、また語りかけていた。

「アナタの元に届けられたロボットは我々の記憶にない程の昔にカタログ落ちした欠陥ロボットです。
欠陥ロボットは直ちに回収され、良質なロボットを作る為の原料としてリサイクルされます。
次に届けられる最新型ロボットに、どうぞご期待下さい」
そう言うと、電子メールが1通、僕の部屋に届いた。

この時点で決定してしまった。ロボット爺チャンは、明日の朝に回収される。
爺チャンは、どうなってしまうんだろう…。





爺チャンが目覚めたのは、夜の11時過ぎだった。
いつもならとっくに爺チャンが一日の活動を終えて起動を勝手に停止させている時間だった。
「いつまで、寝てたんだよー!大変な事になっちゃったんだぞー!!」
僕は爺チャンの肩を揺さぶった。
こんな時間にでも起きれるんだったら、『ロボット相談室』なんかに連絡するんじゃなかった!
僕は後悔の気持ちでいっぱいだった。
でも、僕の気持ちとうらはらに、ロボット爺チャンの表情は晴れ晴れとしていた。

「そうか…わしは回収されるのか…」
爺チャンはポツリと呟いた。
「そうなんだよ、何されるのか分かんないけど、爺チャンは俺の爺チャンじゃ無くなっちゃうんだ」


回収されたロボットの辿る道は本当の「死」だと言う事を僕は爺チャンから聞かされた。
「わしは、もう何十年も…何百年も前に稼動したロボットだった。
あの頃の地球は、今よりもっと酷かった。
人間よりもロボットの数を増やそうと、政治家達は必死だった。
人間が増えすぎてな。どこも住めない状態だった。どこにいっても年寄りばかりだ」

僕は教育ロボットから、その昔、地球では老人規制法と言う名の元で
世界中の老人が「削除」された事を学習したのを思い出した。
地球の全人口の3分の2を老人で埋め尽くしていた頃の話。子供が殆ど生まれてこなかった時代の話。
僕には理解できない事だった。

「老人がいなくなった地球は一件秩序を取り戻したかの様に見えた。
しかし、そうでは無い。先人の知恵や歴史がなくては新しい文明は生まれない。
子供だけになってしまった地球に、大昔の老人の知恵と心を組み込まれたロボットを
子供の教育目的として創り出されたんだ。それがわしらだ」
「ねえ、爺チャン以外の爺チャンロボットも、こんな感じなの?」
そう聞くと、爺チャンは首を振った。
「さあな、昔のことじゃ。それにもうワシ一台しか残っちゃおらんじゃろう」
僕も分かっていた。こんなロボットは他には何処を探しても見つからないんだ。
「寂しいよ、爺チャン」
僕は爺チャンに抱きついた。爺チャンはロボットとは思えない程、暖かかった。
「書生くん、わしも寂しいよ…」
僕は最後の夜を、爺チャンと一緒に眠る事に決めた。



爺チャンが僕のベットの上で眠るのは初めてだった。
「わしが眠らずとも、『向こう』が勝手に切るだろうから、今日は書生くんの眠りをじっと見守っておろう」
爺チャンはそう言うと、僕と向き合って体を横たえた。
いつもの機能停止と違って、本当に人間が休む様な姿だった。
僕は辛いけれど、泣かないと心に決めた。
爺チャンを気持ち良く眠らせてやりたかったんだ。

僕は爺チャンの腕枕の中で、ジッと高い高い天井を見つめた。
僕の知らない外の世界は、天井に開いた小さな「穴」から僕を見下ろしている。
ひょっとしたら、ずっと昔の地球じゃないけど、今度は子供を削除するかもしれない。どうなんだろう?
僕を外の世界に呼び出す者は、人間かもしれないし、
ひょっとしたらロボットなのかもしれない。
それでもいい、いつか「外」から呼び出されて、
このちっぽけな部屋から出る日が来たら、僕はこう言うんだ。
「世界中の子供達に本当の家族と一緒に暮らせる様にして下さい!!」って。
ロボットと言えども、爺チャンは僕にとって初めて「家族」の様な物だった。
僕の大事なロボットはもうすぐ「死」を迎える。
僕は初めて大きな孤独を味わう事になるんだ。
気がつくと、爺チャンは静かに眠っていた。
箱ではなく、人間の爺チャンの姿で眠っていた。

僕は、爺チャンの体から離れると、壁に映し出された日付を見つめた。
今日で、僕の夏休みが終わった。
僕と、爺チャンの楽しい夏休みが終わった。
爺チャンが来てからかけなかった疑似体験用のヘルメットを、僕は爺チャンにかぶせてあげた。
僕が大好きなハワイの海が見えるプログラムをセットした。
真っ赤なハイビスカスの向こうで、僕と爺チャンがサーフィンを楽しんでいる夢を見て欲しいから。





hana01_20101118235359.gif


僕の初めての友達はロボット爺チャン。
静かに、静かに眠っている…。












fin








ちょっと前に書いた小話。少し改稿。原稿用紙20枚ぐらいかな。







拍手コメントありがとうございますー。


お返事でございます。

ダルマーK殿。先日はどうもありがとうございました。
温めている話のプロット、凄く良いと思うよ。是非、形にしてね。

また、80年代語りをしましょう。

| オリジナル小説 | 00:51 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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山に集まった



久しぶりに山小屋へ

毎年この時期は、このあたりは美しい紅葉の景色を見せてくれる。

だから、少しは道が混むだろうと思って(ひどい時には、早朝から渋滞するのだ)

いつもより早めに山に向かう。

抜け道を使ってのんびり走ってみる。

大きな銀杏の木 真っ赤に染まった、ななかまど 南天の実をついばむ山鳥

人で賑わうところは、もみじの紅葉で有名だけど

そこから少し外れた山道もなかなか良い。

黄砂の影響で黄ばんでみえる空の下、山はとてもきれいだった。

一月半ぶりに山小屋に集まった。さあ、ワインで乾杯だ。

onajiwain.jpg


山小屋のオーナー夫妻手作りの、素敵なご馳走

いっぱい喋った後に、楽器を演奏

薪ストーブの火が暖かい

それぞれが持ち寄ったワインは、なぜかスペイン産のワイン

そのうち二本は偶然にも同じ生産者のワイン。

どちらも深く美味しいワイン。

夜遅くまで遊ぶ。外は冷えてきた。冬はかなり寒い。今年集まるのは、もうこれが最後かな。


「良いお年を」と挨拶するには少し早すぎる気がする。

だから別れ際、みんないつもと同じ様に「じゃあ、またね」。

会いたくなったら、またいつでも会えるもんね。


山小屋に行く途中、

ダルマさんが5つ飾ってある知人の家へ立ち寄った。ka.jpg


こちらでよばれたコーヒーが美味かった。

話も楽しかった。


その家を出てすぐに、なんとイノシシと遭遇した。びっくりしたなあ。









ウェブ拍手ありがとうございます。
お返事お待たせしました。追記のところからどうぞ

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| ジャズ話・ジャズな暮らし | 07:52 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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もう寒い。

kouyou.jpg


急に寒くなった。

soop.jpg

白菜と本シメジでスープを作る。調味料は塩と醤油をほんの少し。
野菜で美味しいだしがとれるね。

tyanpuu.jpg

「カオポンの料理で何が一番美味いかって、ゴーヤーチャンプルーでしょう!」
と、家人は誉めてくれる。

誉めてくれるのは嬉しいけれど、
一番美味いのがゴーヤーチャンプルーなんて、ちょっと複雑だ。

もっと肉じゃがとか味噌汁とか、「おふくろの味」的なものをあげてもらうと嬉しいのだが
考えてみると
肉じゃがよりも、ずっと頻繁に、ゴーヤーチャンプルーは我が家の食卓にあがっている。

そうだよな。
生まれ故郷の味なんだよ。
たいしたコツもないけれど、これだけは味見しなくても大丈夫な気がしてしまう。

他所さんのところでも美味しいゴーヤーチャンプルーを頂くけれど

やっぱり家の方が美味いなあと、このときだけは2人して同じことを思っている。

これが手前味噌なんだな。

mero.jpg


久しぶりに読み返してみる。
映画も、見直したいなあ。









拍手いっぱいありがとうございました。

嬉しかったですw


フルートさんへ…先日は御一緒できて有難うございました。
楽しかったですね?。
こんど美味しい生牡蠣と例の肉屋さんの美味しい牛のたたき等で
ワインでも飲みませんか?
ではではw


アマランサスさんへ…どうもありがとうございます!ご無沙汰しております。
絵皿、見てくださいましてありがとうございますw
しばらく飾っていたのですが、絵皿の柄が春の植物なので、いったんしまいました。
今度機会があったら、季節ごとに一枚描いてみたいなあと思います。

今年は秋が短くて、あっと言う間に冬がきてしまったような気がします。
アマランサスさんの所もだいぶ秋が深まってきたのでは。
どうぞ風邪に気をつけて下さいね?


姫子さんへ…お返事がすごーーーーく遅くなりまして、本当にすみませんでした!!
頂いたコメント、ありがたく読ませてもらっています。
エマニュエル・パユについて、このまえ触れられていましたね。
クラシックはあまり詳しくないのですが、数年前の大河「功名が辻」で、
ドラマの終わりに必ず、その話にちなんだ歴史紀行のコーナーがあって
そこで流れていたフルートを、彼が吹いていたのを覚えています。
とても心に残る音色でした。

随分寒くなりましたが、姫子さんもお体には気をつけて下さいね。

| 家ごはんと、お弁当 | 19:21 | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

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