カフェ番長

カフェ番長「カオポン」の、珈琲と喫茶店日記。 時には鞄を作ったり、ジャズを歌ったり。 手作りの暮らしを楽しんでます。

2013年07月 | ARCHIVE-SELECT | 2013年09月

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半径5㎞内から出なかった盆休み


4月終わりごろから続いたうちの人の「休みなし」。
盆休みも殆どありませんでした。

でも、おだやかに過ごしました。

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ごはん一緒に食べる時間があれば、それで良し。

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それで良し、と。


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昨日の夜の思い出



米軍基地の将校クラブで母さんがアニタオディを歌うと、
必ずキャメルの空き缶をくれる人がいた。缶の蓋をあけると、中には一本のレコード針。
ふかふかの綿を台座にして、それは鈍い光を放ってた。
母さんは家に帰るとその針でお気に入りのレコードを聴いていた。随分昔の記憶だ。

ちなみに、その記憶は長い事忘れられていた。
それを想い出したのは、昨日の夜。
久しぶりに訪れたワインバーでレコードを聴いた。
子どもの頃は、どんなに気をつけてもレコード盤の表面を手でさわっちゃうのよねえ。
針なんてさ、好い加減に置くものだから、あっと言う間に傷ついちゃってさ。
そんな話で盛り上がっていた時、家人とマスターはレコード針の値段について話をしていた。
レコード針もピンキリだが、良いのはカートリッジ無しの、交換針だけでも1本2万ぐらいするのもあるとか。
へえー、2万……だってー。
スペイン産の白ワインを飲みながら、私は心の中で唸っていた。
あんな、見た目に地味なものを、と思った瞬間、
「見た目」とは本当に自分の眼で見ていたからだと言う事に気づいた。
酔いがまわるのと同時に、ふわっと昔のことが蘇る。
母さんがこんな事言ってたっけ。
「この針にはね、ダイヤが使ってあんのよ」と。

「あのお……」
一呼吸置いてから、マスターに訊ねてみた。
針って、ダイヤとか使われてます?
マスターも家人も揃って頷く。サファイアもありますよねと、家人が話を続ける。
そっかあ……。
自分の記憶が確かなものであった事に、軽く驚いた。
そして先述の、母さんのレコード針の話をすると、二人は「へえ」と言う顔をした。
「俺、この話を聞くの、はじめてなんだけど」
過去に謎の多い、私の母。
幼少頃に一緒に過ごした記憶があまりない私にとって、母との記憶を辿るのはなかなか難しい。
母自身も滅多に昔のことを語ろうとはしない。
「私も針の値段を聞くまで、思い出す事無かったから」
そういうと、マスターは静かに笑った。

お気に入りの菓子箱に針を詰め替えると、母さんは更にそれを小さな宝石箱の中に入れていた。
一人で留守番をしている私に、オマエはこれでも聴いておきなと、
当時流行っていた歌謡曲のシングル盤を何枚も預けると、母さんは歌を歌いに出かけていった。
けれど、母さんが大事にしていた針はきっと使わせてもらえなかったと思う。
これは特別な時に使うからと、言ってたっけ。
母さんがどんな時に、どの音楽をかけて聴いていたのか。
キャメルの缶をよこしてくれた将校さんは、どんな人だったのか。
今度はどんなきっかけで、その思い出を辿ることができるのだろう。

「ぼちぼち帰りましょうか」
家の人の、二杯目のワインが空になったのを合図に、私は先に席を立った。



これが、昨日の夜の思い出。

| ジャズ話・ジャズな暮らし | 09:17 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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